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MULTIPLAY
 最大参加人数16人までのマルチプレイが用意されている。公式にはBotのサポートは無いのでQ3Aの様にオフラインでプレイする事は出来ない。モードは5種類となっており、基本的なDeathmatch, Team Deathmatch, Capture The Flagの他にTourney, Arena CTFが加わっている。

*Tourney
 最初に参加者はトーナメント表に振り分けられて、1vs1での戦い(全ての試合が同時に行われる)を行い勝った者が次のラウンドへと進んで行き、最後の一人となった者が勝者となる(敗者は観戦モード)。

*Arena CTF
 CTFに4つの特殊なアイテムを加えたモード。このパワーアップの効果は取ったプレイヤーが死ぬまで持続し、その間はマップ内に復活しない。通常のパワーアップと重ねて効果を上昇させる事も可能。基本的に両陣営に一揃え出現する。

・Scout: 移動速度と連射速度がアップするが、代わりにArmorが使えなくなる
・Guard: Armorの最大値を200にアップ。更にHPも200までRegenするようになる
・Doubler: ダメージ2倍
・Ammo-Regen: 全ての所持武器の弾薬を自動的にRegen。また連射速度も上昇する。


 マルチプレイにはシングルと異なりパワーアップが存在しており、その効果は一定時間持続する。Quad Damage(ダメージのアップ), Invisibility(透明化), Regeneration(HPの自動回復), Haste(移動速度と連射速度のアップ), Mega Health(HPを100補給し、その最大値は200になる)等。

 マップはQ3を中心に過去のQuakeシリーズから有名なマップを幾つかコンバートした物も併せて収録。SkinはMarineとStroggの物が用意されており、Q3Aの様な多種のデザインは存在していない。チーム戦もMarines vs Stroggの形式となる。Vehicle系はマルチプレイには導入されていない。

※ブロードバンド必須
※サーバー・ブラウザは自前で装備している他、Gamespy等の外部ブラウザにも対応
※PunkBusterを採用
※Vote機能有り

1.3 Point Release
 2006年の7月に大幅なアップデートとなるV1.3 Patchがリリースされた。主な追加事項や変更点は以下の通り。

*Deadzone
 チーム戦用の新モード。マップ内に幾つかのArtifactsが存在しており、これを取ってマップ中央部に有るDeadzoneへと運んで来る。持った状態でZone内部に居続ける事でポイントが連続して入って行くというルール(その間Zoneが自分のチームのカラーに変化する)。同一チームの別の人間が個別に持って入ればそれぞれのポイントがチームに加算される。ただし敵のチームも持っていてその数が同一だった場合にはZone内部に居てもポイントは入らない。先に設定ポイントに到達したチームの勝利となる。
 所持しているプレイヤーが死ぬとその場に落ちるので、次に取ったプレイヤーが新たな所持者となる。なおArtifactsは取った瞬間からカウントダウンが始まって0になると元の場所に帰ってしまうので、取ったら出来るだけ早くZoneまで持って来ないとポイントが稼げなくなる。

*Buy Mode
 全てのゲームモードでONにする事が可能な新ルール。ONの場合にはマップ上の武器・弾薬・Health/Armorが無くなり、これ等をCreditで購入するというシステムである。金額は敵を倒したりチームの役に立つ事を行うと増えて行き、好きな時にBuy Keyを押してメニューを出して好みの物を購入可能。武器類は死んでも継続して所持出来るが、Armorや弾薬は購入しないとならなくなっている。
 特別な物としてTeam effects と呼ばれるチーム全員に対して効果が発生するパワーアップを購入する事も可能である。Health Regeneration, Damage Boost, Ammo Regenerationの三種類。

*Napalm Gun
 新武器として追加。広範囲にダメージを与えるプラズマ弾を放物線の形で発射する武器。

*追加マップ
 8個の新マップを追加。

*バランスの変更
 プレイヤーの移動速度のアップ、ロケット弾の速度をアップ等の調整が行われている。

*Single Ambient Light Option
 より軽くする為の設定を追加。r_forceAmbientを1に設定する事で有効になる。



GAMEPLAY
 Q4のマルチプレイの詳細については発売近くになるまで明らかにされず、単に前作となるQ3Aを踏襲した形になるという点がアナウンスされたのみであった。発売前にデモを公開してのテストも行われないし(Quakeconで公開されたのみ)、それ故に発売前の盛り上がりも大して無いという状況であった。

 id software自身がQ3Aの発売時に、シングルプレイをカットした理由について「現在のゲーム製作に掛かる予算&人的負荷を考えると、もはや一つの会社がシングルとマルチの両方を同時に充実させるというのは困難であり、片方に焦点を絞って製作するべきという所まで来ている」とコメントしており、実際にその後のReturn to Castle Wolfensteinではシングルとマルチを別の会社に製作させて大成功を収めるという結果を残している。次の自社製作のDoom 3も、マルチプレイ部分はSplash Damageの助けを借りて製作されている。
 それからして双方をRavenが作るというのには説得力が無く、マルチプレイはかなり原始的な形でリリースされるというのは容易に予想された点であり、シングルプレイがメインでマルチの方はそれ程力が入っていないと見る人も多かった。

 発売直後は当然ながら盛り上がりは一応有ったと思うのだが、それ程大量の人が来た訳では無かったし、またその後の人気の下降度合いは悲惨という表現が適当だろう。その後V1.3によるテコ入れで一時はやや人も盛り返したものの、現在ではまた人がいなくなって閑散としてしまっている。前作Q3Aが今でも(Gamespy等の統計データからすると)常時1000人以上でピーク時には3000人近くを維持しているのに対して、Q4では普通100人前後からピークでも300人程度という所まで落ち込んでしまっている。
 Q3AはModも多いので純粋にデフォルトのモードをプレイしている人はもっと少なくなるはずだが、それにしてもこれまで常にマルチプレイで高い人気を誇っていたQuakeシリーズの新作としては信じられないような低迷振りであると言えよう。RavenやidもQ3Aを超えられるとは思っていなかっただろうが、ここまで人が来ないというのは計算外ではないだろうか。


 以下に失敗の理由をいろいろと挙げてみる。

*コンテンツが充実していない
 発売時点ではマップ数が少ないし、過去の人気マップをコンバートする等でオリジナリティが薄かった。キャラクタのモデルもシングルプレイの物をそのまま持って来ており、これは普通のFPSのマルチプレイならば別に特に珍しくも無いのだが、Quakeをマルチ専用と考える層に対して、使い回しのキャラクタ・モデルという点で悪い印象を与えてしまったというのも有ったようだ。

*ゲームの重さ
 とにかく動作が重くてfpsが低くなってしまうという不満は相当多かった。マルチプレイをメインに遊ぶ人、特に今でもQ3Aがメインという層にとっては、それ程高度な性能のPCを所持していない人も多く、そうなるとこのQ4は動かすだけでやっとになってしまう。これだけスピードと反応が重視されている対戦ゲームにおいてfpsが低くて重いというのは致命的でもあり、一応V1.3にて要望を聞き入れてより軽くするような設定を可能としているが、それでもまだ十分ではないようである。
 ネットコードの方もD3から修正されてはいるのだが、それでもQ3Aに比較すると出来が落ちるという声が多かった。

*fps 60の壁
 御存知の方も多いと思うが、D3 Engineではfpsの最大値が60に制限されており、ベンチマークの時以外は外れないようになっている。まずはそもそも何故fpsの上限が制限されているのかについてだが、これはQ3Aにおいて問題となっていた点を修正する為である。
 Q3Aはデフォルトでtickrateが30に設定されている。tickrateとはサーバー側でのマップ内世界の状態の更新速度で、この場合だと1秒間に30回マップ内の全ての要素(プレイヤーの位置等)の状態を書き換える事になる。つまりマルチプレイのマップ内の世界は現実世界と違って時間が連続しておらず、飛び飛びの状態で計算が行われている事になる。当然この値を増やすほど計算の精度は上がって行く事になるが、それに伴ってCPUへの負荷とクライアントとの通信データが増加するので適当な所で止めないとならないし、一定値以上は実質意味が無くなってしまうというのもある。
 一方のクライアント側ではfpsという値によってマップ内の世界の更新が行われている。そのゲームがどのようなネットコードを用いて計算をしているかによって異なるが、Q3Aではサーバー側のtickrateとクライアント側のfpsの値に大きな開きが生じると、サーバー側で正確な計算が行えなくなるという問題が有った。これについて正確な点は私も専門家ではないので分からないのだが、Jumpの移動によるプレイヤーの位置情報に狂いが生じてしまうという事らしい(高fps状態でStrafe Jumpすると規定されている移動速度よりも速く移動出来てしまうとか、トリッキーなジャンプを行うのにfpsの値によってそのタイミングが変化してしまうとか)。
 そこでD3 Engineではtickrateを60に設定してやり、クライアント側のfpsがこれを超えない様にリミッターを掛けているというのがfpsの最大値が60という理由である。これによって不公平が無くなるし、全く同じタイミングで行った動作は等しく同じような結果を生むともなっている。

 しかしこの仕様は今でも反発を受けている状態である。これには大きく分けて2種類あって、一つは上記の様な理由を知らないで怒っている人。例えば「fpsを上げられないのは高度なグラフィックでプレイする事を製作側が強要しているから」、「グラフィックのクオリティを落とす代わりにfpsを上げるというのはユーザー側の自由であり、それが出来ないというのはおかしい」といった考え方で、これは上記の理由を読んでもらえば分かるように的外れな反論である。D3 Engineのグラフィックのクオリティとfpsの上限設定には何の関係も無い。だがこの手の反論は多いという状況である。
 もう一つはそれは分かった上で好ましくないという反対意見。「100fps超が当たり前という感覚に慣れてしまっているので、60fps上限だとプレイ感覚が変ってしまってやりにくい」というのが代表的な意見になるだろう。

 理屈としてはtickrateを120とかに上げてやればクライアント側も同様にfpsのリミットを上げられるのだが、通信負荷の問題等で現状では実現は難しいようだ。かと言ってtickrateは60のままでリミッターを外す事を許可するのは、根本的な導入の目的である「全てのクライアントの公平化」に背く事になるのでまず無いだろう。

*ゲームプレイの変化
 発売当初は若干スピード感が落ちたという声が多かった。しかしこの手のゲームでは若干では有っても遅くなったと感じさせるのはかなりマイナスに働く要素であり、これもやって来たプレイヤーをQ3Aへと帰してしまう原因の一つとなったようだ。V1.3にて移動速度のアップやロケット弾の速度を上げるといった対策は取られたが、ちょっと遅かったような気がする。

  
感  想
 私自身それ程Q4のマルチをプレイしてる訳ではないし、またやりたいという欲求自体も高くないというのが正直なところ。特に悪い所は無いと思うのだが、Q3Aに似過ぎているというのが問題と感じる。これだけQ3Aには人気が有るのだから、敢えてそこをいじらずに同じ様なゲーム性で行けば良いという考え方なのだと思うが、何かインパクトを感じさせる物が無いとやはりダメかなという気がする。

 Q3Aも出た当時においてゲーム性自体はDM中心という事で目新しい点は無かったが、プレイ感はそれまでのゲームとは異なった新しさを感じさせたものである。SFと中世をミックスさせたような独特なマップとキャラクタのデザインもインパクトが有ったし、グラフィックの美しさは当時のFPSとしてはトップと言っても良いようなレベルであった。
 1999年辺りはインターネットの爆発的な普及によってネット上での新規プレイヤーが増加していた頃であり、初めてのマルチプレイがこのQ3Aだったという人も多かっただろうし、Q1の頃の様な昔ながらのスピード感が特に強調されたゲーム性は既存の(LAN時代未体験の)プレイヤーの中にあっても新鮮に映った事だろう。

 それに対してQ4ではグラフィックは確かに上質なものの、あくまでもトップレベルの一つであって飛び抜けてはおらず、1999年当時のQ3Aのインパクトとは比較にならない。またQ3Aと同じゲーム性であっても、そこには何等かの新しさを感じさせて欲しいのだがそれが無い。個性的で無いと言っても良いだろう。90年代末期のメジャーなマルチプレイ可能なFPSゲームと言うと、Q3Aの他にはUnreal, Half-Life, SiN, Unreal Tournament辺りになるが、それぞれにゲーム感覚は異なっており個性を持っていた。その大事な個性と言う物がQ4からは感じられない。当然多数のFPSが登場している後発の作品の方が新鮮さを打ち出すのは難しくなるが、それを差し引いてもどうかと感じてしまう。
 キャラクタモデルや世界観についてもそれは言える。Q3Aは発表当時Q2のファン等からそのグラフィックのデザイン(アクの強さとも言える)に反発の声も少なくなかった。それに対してQ4は無難過ぎるという印象であり、プレイしていても引き込まれる要素に乏しい。マップのデザインをStroggをテーマにした独自性の強い変った物中心にするとか、武器をシングルとは変更して新しい物を増やすとかの冒険が欲しかった。
 おそらく全体が無難にまとめられているのは、プロ・スポーツでの競技用種目として採用されたいという頭があって、それにはあまり変わった要素を付け加えない方が良いという狙いも有ったのだと想像するが、それは現時点では裏目に出てしまっている。

 新モードのDeadzoneは結構面白いという印象であり、Buy Modeも少なくともこのDZのゲーム性には合っている。これでもうちょっと盛り返せても良いような気がするのだが、F.E.A.R.の様に無料開放でもしない限りは、再度人を呼び寄せる事自体が難しそうである。

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